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ヤコブ書
🔝
〘468㌻〙
第1章
1
神
かみ
および
主
しゅ
イエス・キリストの
僕
しもべ
ヤコブ、
散
ち
り
居
を
る
十二
じふに
の
族
やから
の
平󠄃安
へいあん
を
祈
いの
る。
2
わが
兄弟
きゃうだい
よ、なんぢら
各樣
さまざま
の
試鍊
こゝろみ
に
遭󠄃
あ
ふとき、
只管
ひたすら
これを
歡喜
よろこび
とせよ。
3
そは
汝
なんぢ
らの
信仰
しんかう
の
驗
ためし
は、
忍󠄄耐
にんたい
を
生
しゃう
ずるを
知
し
ればなり。
4
忍󠄄耐
にんたい
をして
全󠄃
まった
き
活動
はたらき
をなさしめよ。これ
汝
なんぢ
らが
全󠄃
まった
くかつ
備
そなは
りて、
缺
か
くる
所󠄃
ところ
なからん
爲
ため
なり。
5
汝
なんぢ
らの
中
うち
もし
智慧󠄄
ちゑ
の
缺
か
くる
者
もの
あらば、
咎
とが
むることなく、また
惜
をし
む
事
こと
なく、
凡
すべ
ての
人
ひと
に
與
あた
ふる
神
かみ
に
求
もと
むべし、
然
さ
らば
與
あた
へられん。
6
但
たゞ
し
疑
うたが
ふことなく、
信仰
しんかう
をもて
求
もと
むべし。
疑
うたが
ふ
者
もの
は、
風
かぜ
に
動
うご
かされて
飜
ひるが
へる
海
うみ
の
波
なみ
のごときなり。
7
斯
かゝ
る
人
ひと
は、
主
しゅ
より
何
なに
物
もの
をも
受
う
くと
思
おも
ふな。
8
斯
かゝ
る
人
ひと
は
二心
ふたごゝろ
にして、
凡
すべ
てその
步
あゆ
むところの
途󠄃
みち
定
さだま
りなし。
9
卑
ひく
き
兄弟
きゃうだい
は、おのが
高
たか
くせられたるを
喜
よろこ
べ。
10
富
と
める
者
もの
は、おのが
卑
ひく
くせられたるを
喜
よろこ
べ。そは
草
くさ
の
花
はな
のごとく、
過󠄃
す
ぎゆくべければなり。
11
日
ひ
出
い
で
熱
あつ
き
風
かぜ
吹
ふ
きて
草
くさ
を
枯
か
らせば、
花
はな
落
お
ちてその
麗
うるは
しき
姿
すがた
ほろぶ。
富
と
める
者
もの
もまた
斯
かく
のごとく、その
途󠄃
みち
の
半󠄃
なかば
にして
己
おのれ
まづ
消󠄃
きえ
失
う
せん。
468㌻
12
試鍊
こころみ
に
耐
た
ふる
者
もの
は
幸福
さいはひ
なり、
之
これ
を
善
よ
しとせらるる
時
とき
は、
主
しゅ
のおのれを
愛
あい
する
者
もの
に
約束
やくそく
し
給
たま
ひし、
生命
いのち
の
冠冕
かんむり
を
受
う
くべければなり。
13
人
ひと
誘
いざな
はるるとき『
神
かみ
われを
誘
いざな
ひたまふ』と
言
い
ふな、
神
かみ
は
惡
あく
に
誘
いざな
はれ
給
たま
はず、
又󠄂
また
みづから
人
ひと
を
誘
いざな
ひ
給
たま
ふことなし。
14
人
ひと
の
誘
いざな
はるるは
己
おのれ
の
慾
よく
に
引
ひ
かれて
惑
まどは
さるるなり。
15
慾
よく
孕
はら
みて
罪
つみ
を
生
う
み、
罪
つみ
成
な
りて
死
し
を
生
う
む。
16
わが
愛
あい
する
兄弟
きゃうだい
よ、
自
みづか
ら
欺
あざむ
くな。
17
凡
すべ
ての
善
よ
き
賜物
たまもの
と
凡
すべ
ての
全󠄃
まった
き
賜物
たまもの
とは、
上
うへ
より、もろもろの
光
ひかり
の
父󠄃
ちち
より
降
くだ
るなり。
父󠄃
ちち
は
變
かは
ることなく、また
回轉
くわいてん
の
影
かげ
もなき
者
もの
なり。
18
その
造󠄃
つく
り
給
たま
へる
物
もの
の
中
うち
にて
我
われ
らを
初穗
はつほ
のごとき
者
もの
たらしめんとて、
御旨
みむね
のままに、
眞理
しんり
の
言
ことば
をもて
我
われ
らを
生
う
み
給
たま
へり。
19
わが
愛
あい
する
兄弟
きゃうだい
よ、
汝
なんぢ
らは
之
これ
を
知
し
る。さればおのおの
聽
き
くことを
速󠄃
すみや
かにし、
語
かた
ることを
遲
おそ
くし、
怒
いか
ることを
遲
おそ
くせよ。
20
人
ひと
の
怒
いかり
は
神
かみ
の
義
ぎ
を
行
おこな
はざればなり。
21
然
さ
れば
凡
すべ
ての
穢
けがれ
と
溢󠄃
あふ
るる
惡
あく
とを
捨
す
て、
柔和
にうわ
をもて
其
そ
の
植
う
ゑられたる
所󠄃
ところ
の、
靈魂
たましひ
を
救
すく
ひ
得
う
る
言
ことば
を
受
う
けよ。
22
ただ
御言
みことば
を
聞
き
くのみにして、
己
おのれ
を
欺
あざむ
く
者
もの
とならず、
之
これ
を
行
おこな
ふ
者
もの
となれ。
23
それ
御言
みことば
を
聞
き
くのみにして、
之
これ
を
行
おこな
はぬ
者
もの
は、
鏡
かゞみ
にて
己
おの
が
生來
うまれつき
の
顏
かほ
を
見
み
る
人
ひと
に
似
に
たり。
〘341㌻〙
24
己
おのれ
をうつし
見
み
て
立
た
ち
去
さ
れば、
直
ただ
ちにその
如何
いか
なる
姿
すがた
なりしかを
忘
わす
る。
25
されど
全󠄃
まった
き
律法
おきて
、すなはち
自由
じいう
の
律法
おきて
を
懇
ねんご
ろに
見
み
て
離
はな
れぬ
者
もの
は、
業
わざ
を
行
おこな
ふ
者
もの
にして、
聞
き
きて
忘
わす
るる
者
もの
にあらず、その
行爲
おこなひ
によりて
幸福
さいはひ
ならん。
26
人
ひと
もし
自
みづか
ら
信心
しんじん
ふかき
者
もの
と
思
おも
ひて、その
舌
した
に
轡
くつわ
を
著
つ
けず、
己
おの
が
心
こゝろ
を
欺
あざむ
かば、その
信心
しんじん
は
空󠄃
むな
しきなり。
27
父󠄃
ちち
なる
神
かみ
の
前󠄃
まへ
に
潔󠄄
きよ
くして
穢
けがれ
なき
信心
しんじん
は、
孤兒
みなしご
と
寡婦󠄃
やもめ
とをその
患難
なやみ
の
時
とき
に
見舞
みま
ひ、また
自
みづか
ら
守
まも
りて
世
よ
に
汚
けが
されぬ
是
これ
なり。
469㌻
第2章
1
わが
兄弟
きゃうだい
よ、
榮光
えいくわう
の
主
しゅ
なる
我
われ
らの
主
しゅ
イエス・キリストに
對
たい
する
信仰
しんかう
を
保
たも
たんには、
人
ひと
を
偏󠄃
かたよ
り
視
み
るな。
2
金
きん
の
指輪
ゆびわ
をはめ
華美
はなやか
なる
衣
ころも
を
著
き
たる
人
ひと
、なんぢらの
會堂
くわいだう
に
入
い
りきたり、また
粗末
そまつ
なる
衣
ころも
を
著
き
たる
貧󠄃
まづ
しき
者
もの
、いり
來
きた
らんに、
3
汝
なんぢ
等
ら
その
華美
はなやか
なる
衣
ころも
を
著
き
たる
人
ひと
を
重
おも
んじ
視
み
て『なんぢ
此
こ
の
善
よ
き
處
ところ
に
坐
ざ
せよ』と
言
い
ひ、また
貧󠄃
まづ
しき
者
もの
に『なんぢ
彼處
かしこ
に
立
た
つか、
又󠄂
また
はわが
足下
あしもと
に
坐
ざ
せよ』と
言
い
はば、
4
汝
[*]なんぢ
らの
中
うち
にて
區別
わかち
をなし、また
惡
あ
しき
思
おもひ
をもてる
審判󠄄
さばき
人
ひと
となるに
非
あら
ずや。[*或は「汝らの心の中に矛盾あり」と譯す。]
5
わが
愛
あい
する
兄弟
きゃうだい
よ、
聽
き
け、
神
かみ
は
世
よ
の
貧󠄃
まづ
しき
者
もの
を
選󠄄
えら
びて
信仰
しんかう
に
富
と
ませ、
神
かみ
を
愛
あい
する
者
もの
に
約束
やくそく
し
給
たま
ひし
國
くに
の
世嗣
よつぎ
たらしめ
給
たま
ひしに
非
あら
ずや。
6
然
しか
るに
汝
なんぢ
らは
貧󠄃
まづ
しき
者
もの
を
輕
かろ
んじたり、
汝
なんぢ
らを
虐󠄃
しへた
げ、また
裁判󠄄所󠄃
さいばんしょ
に
曵
ひ
くものは、
富
と
める
者
もの
にあらずや。
7
彼
かれ
らは
汝
なんぢ
らの
上
うへ
に
稱
とな
へらるる
尊󠄅
たふと
き
名
な
を
汚
けが
すものに
非
あら
ずや。
8
汝
なんぢ
等
ら
もし
聖󠄄書
せいしょ
にある『おのれの
如
ごと
く
汝
なんぢ
の
隣
となり
を
愛
あい
すべし』との
尊󠄅
たふと
き
律法
おきて
を
全󠄃
まった
うせば、その
爲
な
すところ
善
よ
し。
9
されど
若
も
し
人
ひと
を
偏󠄃
かたよ
り
視
み
ば、これ
罪
つみ
を
行
おこな
ふなり。
律法
おきて
、なんぢらを
犯罪者
はんざいしゃ
と
定
さだ
めん。
10
人
ひと
、
律法
おきて
全󠄃體
ぜんたい
を
守
まも
るとも、その
一
ひと
つに
躓
つまづ
かば、
是
これ
すべてを
犯
をか
すなり。
11
それ『
姦淫
かんいん
する
勿
なか
れ』と
宣
のたま
ひし
者
もの
、また『
殺
ころ
す
勿
なか
れ』と
宣給
のたま
ひたれば、なんぢ
姦淫
かんいん
せずとも、
若
も
し
人
ひと
を
殺
ころ
さば
律法
おきて
を
破
やぶ
る
者
もの
となるなり、
12
なんぢら
自由
じいう
の
律法
おきて
によりて
審
さば
かれんとする
者
もの
のごとく
語
かた
り、かつ
行
おこな
ふべし。
13
憐憫
あはれみ
を
行
おこな
はぬ
者
もの
は、
憐憫
あはれみ
なき
審判󠄄
さばき
を
受
う
けん、
憐憫
あはれみ
は
審判󠄄
さばき
にむかひて
勝󠄃
か
ち
誇
ほこ
るなり。
14
わが
兄弟
きゃうだい
よ、
人
ひと
みづから
信仰
しんかう
ありと
言
い
ひて、もし
行爲
おこなひ
なくば
何
なに
の
益
えき
かあらん、
斯
かゝ
る
信仰
しんかう
は
彼
かれ
を
救
すく
ひ
得
え
んや。
470㌻
15
もし
兄弟
きゃうだい
或
あるひ
は
姉妹
しまい
、
裸體
はだか
にて
日用
にちよう
の
食󠄃物
しょくもつ
に
乏
とも
しからんとき、
16
汝
なんぢ
等
ら
のうち
或
ある
人
ひと
これに『
安
やす
らかにして
徃
ゆ
け、
溫
あたゝ
かなれ、
飽󠄄
あ
くことを
得
え
よ』といひて、
體
からだ
に
無
な
くてならぬ
物
もの
を
與
あた
へずば、
何
なに
の
益
えき
かあらん。
〘342㌻〙
17
斯
か
くのごとく
信仰
しんかう
もし
行爲
おこなひ
なくば、
死
し
にたる
者
もの
なり。
18
人
ひと
もまた
言
い
はん『なんぢ
信仰
しんかう
あり、われ
行爲
おこなひ
あり、
汝
なんぢ
の
行爲
おこなひ
なき
信仰
しんかう
を
我
われ
に
示
しめ
せ、
我
われ
わが
行爲
おこなひ
によりて
信仰
しんかう
を
汝
なんぢ
に
示
しめ
さん』と。
19
なんぢ
神
かみ
は
唯一
ゆゐいつ
なりと
信
しん
ずるか、かく
信
しん
ずるは
善
よ
し、
惡鬼
あくき
も
亦
また
信
しん
じて
慄
わなゝ
けり。
20
ああ
虛
むな
しき
人
ひと
よ、なんぢ
行爲
おこなひ
なき
信仰
しんかう
の
徒然
いたづら
なるを
知
し
らんと
欲
ほっ
するか。
21
我
われ
らの
父󠄃
ちち
アブラハムはその
子
こ
イサクを
祭壇
さいだん
に
献
さゝ
げしとき、
行爲
おこなひ
によりて
義
ぎ
とせられたるに
非
あら
ずや。
22
なんぢ
見
み
るべし、その
信仰
しんかう
、
行爲
おこなひ
と
共
とも
にはたらき、
行爲
おこなひ
によりて
全󠄃
まった
うせられたるを。
23
またアブラハム
神
かみ
を
信
しん
じ、その
信仰
しんかう
を
義
ぎ
と
認󠄃
みと
められたりと
云
い
へる
聖󠄄書
せいしょ
は
成就
じゃうじゅ
し、かつ
彼
かれ
は
神
かみ
の
友
とも
と
稱
とな
へられたり。
24
かく
人
ひと
の
義
ぎ
とせらるるは、ただ
信仰
しんかう
のみに
由
よ
らずして
行爲
おこなひ
に
由
よ
ることは、
汝
なんぢ
らの
見
み
る
所󠄃
ところ
なり。
25
また
遊󠄃女
あそびめ
ラハブも
使者
つかひ
を
受
う
け、これを
他
ほか
の
途󠄃
みち
より
去
さ
らせたるとき、
行爲
おこなひ
によりて
義
ぎ
とせられたるに
非
あら
ずや。
26
靈魂
たましひ
なき
體
からだ
の
死
し
にたる
者
もの
なるが
如
ごと
く、
行爲
おこなひ
なき
信仰
しんかう
も
死
し
にたるものなり。
第3章
1
わが
兄弟
きゃうだい
よ、なんぢら
多
おほ
く
敎師
けうし
となるな。
敎師
けうし
たる
我
われ
らの
更
さら
に
嚴
きび
しき
審判󠄄
さばき
を
受
う
くることを、
汝
なんぢ
ら
知
し
ればなり。
2
我
われ
らは
皆
みな
しばしば
躓
つまづ
く
者
もの
なり、
人
ひと
もし
言
ことば
に
蹉跌
つまづき
なくば、これ
全󠄃
まった
き
人
ひと
にして
全󠄃身
ぜんしん
に
轡
くつわ
を
著
つ
け
得
う
るなり。
3
われら
馬
うま
を
己
おのれ
に
馴
したが
はせんために
轡
くつわ
をその
口
くち
に
置
お
くときは、その
全󠄃身
ぜんしん
を
馭
まは
し
得
う
るなり。
4
また
船
ふね
を
見
み
よ、その
形
かたち
は
大
おほき
く、かつ
激
はげ
しき
風
かぜ
に
追󠄃
お
はるるとも、
最
いと
小
ちひさ
き
舵
かぢ
にて
舵人
かぢとり
の
欲
ほっ
するままに
運󠄃
まは
すなり。
471㌻
5
斯
かく
のごとく
舌
した
もまた
小
ちひさ
きものなれど、その
誇
ほこ
るところ
大
おほい
なり。
視
み
よ、いかに
小
ちひさ
き
火
ひ
の、いかに
大
おほい
なる
林
はやし
を
燃
もや
すかを。
6
舌
した
は
火
ひ
なり、
不義
ふぎ
の
世界
せかい
なり、
舌
した
は
我
われ
らの
肢體
したい
の
中
うち
にて、
全󠄃身
ぜんしん
を
汚
けが
し、また
地獄
ぢごく
より
燃
も
え
出
い
でて
一生
いっしゃう
の
車輪
しゃりん
を
燃
もや
すものなり。
7
獸
けもの
・
鳥
とり
・
匍
は
ふもの・
海
うみ
にあるもの
等
など
、さまざまの
種類
しゅるゐ
みな
制
せい
せらる、
旣
すで
に
人
ひと
に
制
せい
せられたり。
8
されど
誰
たれ
も
舌
した
を
制
せい
すること
能
あた
はず、
舌
した
は
動
うご
きて
止
や
まぬ
惡
あく
にして
死
し
の
毒
どく
の
滿
み
つるものなり。
9
われら
之
これ
をもて
主
しゅ
たる
父󠄃
ちち
を
讃
ほ
め、また
之
これ
をもて
神
かみ
に
象
かたど
りて
造󠄃
つく
られたる
人
ひと
を
詛
のろ
ふ。
10
讃美
さんび
と
呪詛
のろひ
と
同
おな
じ
口
くち
より
出
い
づ。わが
兄弟
きゃうだい
よ、
斯
かゝ
る
事
こと
はあるべきにあらず。
11
泉
いづみ
は
同
おな
じ
穴󠄄
あな
より
甘
あま
き
水
みづ
と
苦
にが
き
水
みづ
とを
出
いだ
さんや。
12
わが
兄弟
きゃうだい
よ、
無花果
いちじく
の
樹
き
、オリブの
實
み
を
結
むす
び、
葡萄
ぶだう
の
樹
き
、
無花果
いちじく
の
實
み
を
結
むす
ぶことを
得
え
んや。
斯
かく
のごとく
鹽
しほ
水
みづ
は
甘
あま
き
水
みづ
を
出
いだ
すこと
能
あた
はず。
〘343㌻〙
13
汝
なんぢ
等
ら
のうち
智
かしこ
くして
慧󠄄
さと
き
者
もの
は
誰
たれ
なるか、その
人
ひと
は
善
よ
き
行狀
ぎゃうじゃう
により
柔和
にうわ
なる
智慧󠄄
ちゑ
をもて
行爲
おこなひ
を
顯
あらは
すべし。
14
されど
汝
なんぢ
等
ら
もし
心
こゝろ
のうちに
苦
にが
き
妬
ねたみ
と
黨派心
たうはしん
とを
懷
いだ
かば、
誇
ほこ
るな、
眞理
しんり
に
悖
もと
りて
僞
いつは
るな。
15
斯
かゝ
る
智慧󠄄
ちゑ
は
上
うへ
より
下
くだ
るにあらず、
地
ち
に
屬
ぞく
し、
情󠄃
じゃう
慾
よく
に
屬
ぞく
し、
惡鬼
あくき
に
屬
ぞく
するものなり。
16
妬
ねたみ
と
黨派心
たうはしん
とある
所󠄃
ところ
には
亂
みだれ
と
各樣
さまざま
の
惡
あ
しき
業
わざ
とあればなり。
17
されど
上
うへ
よりの
智慧󠄄
ちゑ
は
第一
だいいち
に
潔󠄄
いさぎ
よく、
次
つぎ
に
平󠄃和
へいわ
・
寛容
くわんよう
・
溫順
おんじゅん
また
憐憫
あはれみ
と
善
よ
き
果
み
とに
滿
み
ち、
人
ひと
を
偏󠄃
かたよ
り
視
み
ず、
虛僞
いつはり
なきものなり。
18
義
ぎ
の
果
み
は
平󠄃和
へいわ
をおこなふ
者
もの
の
平󠄃和
へいわ
をもて
播
ま
くに
因
よ
るなり。
第4章
1
汝
なんぢ
等
ら
のうちの
戰爭
いくさ
は
何處
いづこ
よりか、
分󠄃爭
あらそひ
は
何處
いづこ
よりか、
汝
なんぢ
らの
肢體
したい
のうちに
戰
たゝか
ふ
慾
よく
より
來
きた
るにあらずや。
2
汝
なんぢ
ら
貪
むさぼ
れども
得
え
ず、
殺
ころ
すことをなし、
妬
ねた
むことを
爲
す
れども
得
う
ること
能
あた
はず、
汝
なんぢ
らは
爭
あらそ
ひ、また
戰
いくさ
す。
汝
なんぢ
らの
得
え
ざるは
求
もと
めざるに
因
よ
りてなり。
472㌻
3
汝
なんぢ
ら
求
もと
めてなほ
受
う
けざるは、
慾
よく
のために
費
つひや
さんとて
妄
みだり
に
求
もと
むるが
故
ゆゑ
なり。
4
姦淫
かんいん
をおこなふ
者
もの
よ、
世
よ
の
友
とも
となるは、
神
かみ
に
敵
てき
するなるを
知
し
らぬか、
誰
たれ
にても
世
よ
の
友
とも
とならんと
欲
ほっ
する
者
もの
は、
己
おのれ
を
神
かみ
の
敵
てき
とするなり。
5
聖󠄄書
せいしょ
に『
神
かみ
は
我
われ
らの
衷
うち
に
住󠄃
す
ませ
給
たま
ひし
靈
れい
を、
妬
ねた
むほどに
慕
した
ひたまふ』と
云
い
へるを
虛
むな
しきことと
汝
なんぢ
ら
思
おも
ふか。
6
神
かみ
は
更
さら
に
大
おほい
なる
恩惠
めぐみ
を
賜
たま
ふ。されば
言
い
ふ『
神
かみ
は
高
たか
ぶる
者
もの
を
拒
ふせ
ぎ、
謙󠄃
へりく
だる
者
もの
に
恩惠
めぐみ
を
與
あた
へ
給
たま
ふ』と。
7
この
故
ゆゑ
に
汝
なんぢ
ら
神
かみ
に
服󠄃
したが
へ、
惡魔󠄃
あくま
に
立
た
ち
向
むか
へ、さらば
彼
かれ
なんぢらを
逃󠄄
に
げ
去
さ
らん。
8
神
かみ
に
近󠄃
ちか
づけ、さらば
神
かみ
なんぢらに
近󠄃
ちか
づき
給
たま
はん。
罪人
つみびと
よ、
手
て
を
淨
きよ
めよ、
二心
ふたごゝろ
の
者
もの
よ、
心
こゝろ
を
潔󠄄
いさぎ
よくせよ。
9
なんぢら
惱
なや
め、
悲
かな
しめ、
泣
な
け、なんぢらの
笑
わらひ
を
悲歎
かなしみ
に、なんぢらの
歡喜
よろこび
を
憂
うれひ
に
易
か
へよ。
10
主
しゅ
の
前󠄃
まへ
に
己
おのれ
を
卑
ひく
うせよ、
然
さ
らば
主
しゅ
なんぢらを
高
たか
うし
給
たま
はん。
11
兄弟
きゃうだい
よ、
互
たがひ
に
謗
そし
るな。
兄弟
きゃうだい
を
謗
そし
る
者
もの
、
兄弟
きゃうだい
を
審
さば
く
者
もの
は、これ
律法
おきて
を
誹
そし
り、
律法
おきて
を
審
さば
くなり。
汝
なんぢ
もし
律法
おきて
を
審
さば
かば、
律法
おきて
をおこなふ
者
もの
にあらずして
審判󠄄
さばき
人
ひと
なり。
12
立法者
りっぽふしゃ
また
審判󠄄者
さばきびと
は
唯
ただ
一人
ひとり
にして、
救
すく
ふことをも
滅
ほろ
ぼすことをも
爲
な
し
得
う
るなり。なんぢ
誰
たれ
なれば
隣
となり
を
審
さば
くか。
13
聽
き
け『われら
今日
けふ
もしくは
明日
あす
それがしの
町
まち
に
徃
ゆ
きて、
一年
ひとゝせ
の
間
あひだ
かしこに
留
とゞま
り、
賣買
うりかひ
して
利
り
を
得
え
ん』と
言
い
ふ
者
もの
よ、
14
汝
なんぢ
らは
明日
あす
のことを
知
し
らず、
汝
なんぢ
らの
生命
いのち
は
何
なに
ぞ、
暫
しばら
く
現
あらは
れて
遂󠄅
つひ
に
消󠄃
き
ゆる
霧
きり
なり。
15
汝
なんぢ
等
ら
その
言
い
ふところに
易
か
へて『
主
しゅ
の
御意󠄃
みこゝろ
ならば、
我
われ
ら
活
い
きて
此
こ
のこと
或
あるひ
は
彼
か
のことを
爲
な
さん』と
言
い
ふべきなり。
〘344㌻〙
16
然
さ
れど
今
いま
なんぢらは
高
たか
ぶりて
誇
ほこ
る、
斯
かく
のごとき
誇
ほこり
はみな
惡
あ
しきなり。
473㌻
17
人
ひと
善
ぜん
を
行
おこな
ふことを
知
し
りて、
之
これ
を
行
おこな
はぬは
罪
つみ
なり。
第5章
1
聽
き
け、
富
と
める
者
もの
よ、なんぢらの
上
うへ
に
來
きた
らんとする
艱難
なやみ
のために
泣
な
きさけべ。
2
汝
なんぢ
らの
財
たから
は
朽
く
ち、
汝
なんぢ
らの
衣
ころも
は
蠧
むしば
み、
3
汝
なんぢ
らの
金
きん
銀
ぎん
は
錆
さ
びたり。この
錆
さび
、なんぢらに
對
むか
ひて
證
あかし
をなし、かつ
火
ひ
のごとく
汝
なんぢ
らの
肉
にく
を
蝕
く
はん。
汝
なんぢ
等
ら
この
末
すゑ
の
世
よ
に
在
あ
りてなほ
財
たから
を
蓄
たくは
へたり。
4
視
み
よ、
汝
なんぢ
等
ら
がその
畑
はた
を
刈
か
り
入
い
れたる
勞動人
はたらきびと
に
拂
はら
はざりし
値
あたひ
は
叫
さけ
び、その
刈
か
りし
者
もの
の
呼聲
よびごゑ
は
萬軍
ばんぐん
の
主
しゅ
の
耳
みみ
に
入
い
れり。
5
汝
なんぢ
らは
地
ち
にて
奢
おご
り、
樂
たの
しみ、
屠
ほふ
らるる
日
ひ
に
在
あ
りて
尙
なほ
おのが
心
こゝろ
を
飽󠄄
あか
せり。
6
汝
なんぢ
らは
正
たゞ
しき
者
もの
を
罪
つみ
に
定
さだ
め、
且
かつ
これを
殺
ころ
せり、
彼
かれ
は
汝
なんぢ
らに
抵抗
ていかう
することなし。
7
兄弟
きゃうだい
よ、
主
しゅ
の
來
きた
り
給
たま
ふまで
耐
たへ
忍󠄄
しの
べ。
視
み
よ、
農夫
のうふ
は
地
ち
の
貴
たふと
き
實
み
を、
前󠄃
まへ
と
後
あと
との
雨
あめ
を
得
う
るまで
耐
たへ
忍󠄄
しの
びて
待
ま
つなり。
8
汝
なんぢ
らも
耐
たへ
忍󠄄
しの
べ、なんぢらの
心
こゝろ
を
堅
かた
うせよ。
主
しゅ
の
來
きた
り
給
たま
ふこと
近󠄃
ちか
づきたればなり。
9
兄弟
きゃうだい
よ、
互
たがひ
に
怨言
うらみごと
をいふな、
恐
おそ
らくは
審
さば
かれん。
視
み
よ、
審判󠄄
さばき
主
ぬし
、
門
もん
の
前󠄃
まへ
に
立
た
ちたまふ。
10
兄弟
きゃうだい
よ、
主
しゅ
の
名
な
によりて
語
かた
りし
預言者
よげんしゃ
たちを
苦難
くるしみ
と
耐忍󠄄
しのび
との
模範
もはん
とせよ。
11
視
み
よ、
我
われ
らは
忍󠄄
しの
ぶ
者
もの
を
幸福
さいはひ
なりと
思
おも
ふ。なんぢらヨブの
忍󠄄耐
にんたい
を
聞
き
けり、
主
しゅ
の
彼
かれ
に
成
な
し
給
たま
ひし
果
はて
を
見
み
たり、
即
すなは
ち
主
しゅ
は
慈悲
じひ
ふかく、かつ
憐憫
あはれみ
あるものなり。
12
わが
兄弟
きゃうだい
よ、
何事
なにごと
よりも
先
ま
づ
誓
ちか
ふな、
或
あるひ
は
天
てん
、あるひは
地
ち
、あるひは
其
そ
の
他
ほか
のものを
指
さ
して
誓
ちか
ふな。
只
たゞ
なんぢら
然
しか
りは
然
しか
り
否
いな
は
否
いな
とせよ、
罪
つみ
に
定
さだ
めらるる
事
こと
なからん
爲
ため
なり。
13
汝
なんぢ
等
ら
のうち
苦
くる
しむ
者
もの
あるか、その
人
ひと
、
祈
いのり
せよ。
喜
よろこ
ぶ
者
もの
あるか、その
人
ひと
、
讃美
さんび
せよ。
14
汝
なんぢ
等
ら
のうち
病
や
める
者
もの
あるか、その
人
ひと
、
敎會
けうくわい
の
長老
ちゃうらう
たちを
招
まね
け。
彼
かれ
らは
主
しゅ
の
名
な
により
其
そ
の
人
ひと
に
油
あぶら
をぬりて
祈
いの
るべし。
474㌻
15
さらば
信仰
しんかう
の
祈
いのり
は
病
や
める
者
もの
を
救
すく
はん、
主
しゅ
かれを
起󠄃
おこ
し
給
たま
はん、もし
罪
つみ
を
犯
をか
しし
事
こと
あらば
赦
ゆる
されん。
16
この
故
ゆゑ
に
互
たがひ
に
罪
つみ
を
言
い
ひ
表
あらは
し、かつ
癒󠄄
いや
されんために
相
あひ
互
たがひ
に
祈
いの
れ、
正
たゞ
しき
人
ひと
の
祈
いのり
ははたらきて
大
おほい
なる
力
ちから
あり。
17
エリヤは
我
われ
らと
同
おな
じ
情󠄃
じゃう
をもてる
人
ひと
なるに、
雨
あめ
降
ふ
らざることを
切
せつ
に
祈
いの
りしかば、
三年
さんねん
六个月
ろくかげつ
のあひだ
地
ち
に
雨
あめ
降
ふ
らざりき。
18
斯
かく
て
再
ふたゝ
び
祈
いの
りたれば、
天
てん
雨
あめ
を
降
ふ
らし、
地
ち
その
果
み
を
生
しゃう
ぜり。
〘345㌻〙
19
わが
兄弟
きゃうだい
よ、
汝
なんぢ
等
ら
のうち
眞理
しんり
より
迷󠄃
まよ
ふ
者
もの
あらんに、
誰
たれ
か
之
これ
を
引回
ひきかへ
さば、
20
その
人
ひと
は
知
し
れ、
罪人
つみびと
をその
迷󠄃
まよ
へる
道󠄃
みち
より
引回
ひきかへ
す
者
もの
は、かれの
靈魂
たましひ
を
死
し
より
救
すく
ひ、
多
おほ
くの
罪
つみ
を
掩
おほ
ふことを。
〘346㌻〙
475㌻